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日本小児科医会国際部   

活動報告report

インド

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「インドでのポリオワクチン投与活動」

日本小児科医会国際委員会 関場慶博

 WHOは1980年に「天然痘根絶宣言」を行い、次なる感染症根絶の目標として、1988年のWHO総会で「2000年までにポリオ根絶」を決議しました。これを受けて、WHO、UNICEF、国際ロータリー、米CDCが参加するパートナーシップのポリオ根絶イニシアティブ(Global Polio Eradication Initiative)が提唱されました。1994年には西半球が、2000年に西太平洋地域が、そして2002年にはヨーロッパ地域がポリオ無発生地域として宣言され、1988年当時約35万例と推定されていた世界の年間ポリオ患者数は、2011年までに650例までに減少し、ポリオの常在国は125ヵ国から4ヵ国へ減少しました。このようにポリオ根絶イニシアティブは大きな成果を上げてきましたが、2000年までのポリオ根絶という目標を達成するまでにはいたっていません。ポリオ常在国(インド、パキスタン、アフガニスタン、ナイジェリア)では、予防接種プログラムの障害となる様々な問題点(劣悪な衛生環境、過疎地へのアクセスの欠如、予防接種に対する理解の欠如、戦争状態)が今もあるからです。
 しかし、そのポリオ常在国の1つであったインドでは、2011年1月13日以降の発症が無く、2012年1月、インドはWHOのポリオ常在国のリストから外されました。これは世界のポリオ根絶活動に大きな希望を与えました。インドで成功した理由は、官民一体となった積極的な取り組み、1価ワクチンと2価ワクチンの導入、各地域の流行状況に合わせたワクチン投与戦略、世界的規模の資金的サポート、があげられます。しかし野生株の発生が無くなったとはいえ、世界のどこかでポリオの発生がある限り、自国でのポリオの危険性が消えることはありません。根絶国でも輸入ポリオ発生があるうるからです。2011年、根絶国における輸入ポリオの発生は、実に12ヶ国309例を数えます。昨年の中国ウィグル地区での21名のポリオ発症(パキスタンからの輸入例)は隣国の日本にとって大きな衝撃でした。
  インドでは、今後も5歳以下の小児への年2回のポリオワクチン投与を続け、国境での監視をより強化する計画です。そしてもう一つのポリオ発生の危険、すなわちVDPV(Vaccine Derived Polio Virus)の発生を抑える必要がありますが、そのためインドでは、2年後には不活化ポリオワクチンを導入し、VDPVの発生を抑え込む計画をすでに立てられており、セービン株不活化ポリオワクチン製造プラントがすでに着工されています。
  世界からポリオが無くなる日は、遠からぬ将来に必ずやってくると思われます。
 私は、2001年以来、国際ロータリーの一員としてほぼ毎年インドでのポリオワクチン投与活動へ参加してきましたが、2010年からは日本小児科医会国際員会からのご支援もいただき、インドの小児医療との連携も視野に入れながらその活動の幅を広げてまいりました。来年はインドでのポリオ根絶宣言がなされる予定ですので、日本からも多くの小児科医に参加していただけたらと思い、その準備を進めているところです。
  一昨年の「ロータリーの友」(国際ロータリー地域雑誌)へ投稿した記事をご一読いただければ幸甚でございます。



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